世界はデータで動いている 中学レベルで学ぶ統計・データリテラシー教材

分析の視点を持とう:どのグラフが何を教えてくれるか

同じデータ、違う物語

同じデータでも、どんなグラフにするかで全く違う「物語」になる。グラフは単なる飾りじゃない。データの「声」を聞くための大切な道具だ。
量を比較したいなら棒グラフ。変化の様子を追いたいなら折れ線グラフ。全体に対する割合を表現するなら円グラフ。2つの項目の関係を見るなら散布図。目的に応じて、適切なグラフを選ぶことが重要だ。
例えば、学校の遅刻者数を分析するとき。折れ線グラフにすると、5月に急増(GW明けの影響?)、7月に減少(夏休み前の気の緩み?)、10月にピーク(体育祭準備で疲労?)、1月に激減(新年の決意?)——こういう時系列の変化が一目で分かる。
でも、これを棒グラフにすると、どの月が多いかは分かるけど、変化の「流れ」は見えにくい。円グラフにしたら、月別の割合は分かるけど、時間的な推移は全く見えなくなる。
いろいろな種類のグラフを見て読み解く人

グラフを「読む」技術

グラフを見るとき、まず確認すべきは「軸」だ。
縦軸(Y軸)は何を測っているか?単位は何か?最小値・最大値は?0から始まっているか?
横軸(X軸)はカテゴリーか時系列か?順序に意味があるか?等間隔か?——この確認を怠ると、グラフに騙される。
「スケールのトリック」には特に注意が必要だ。例えば、売上の「急激な」増加を示すグラフ。縦軸が98万円〜102万円だったら、4万円の増加が「巨大な」変化に見える。でも縦軸を0万円〜120万円にしたら、実際の変化の大きさは大したことない。
こういう「印象操作」を見抜く力が大事だ。グラフに表示されていない情報にも注目しよう。途中で飛んでいる年度、「その他」にまとめられた項目、回答していない人の存在、こういう「見えないデータ」が重要な意味を持つことがある。例えば、カフェの売上分析。月別売上の折れ線グラフで夏と冬にピークがある。商品別売上の円グラフでアイスコーヒーが30%。時間帯別客数の棒グラフで11時と15時にピーク。この3つのグラフを組み合わせて考えると、より深い理解が得られる。

グラフ思考を身につけよう

自分でグラフを作るとき、いくつかポイントがある。
色使いで差をつけよう。重要な部分は濃い色、関連する項目は同系色、対比したい項目は補色。でも、赤と緑の組み合わせは避けること(色覚特性を持つ人が区別困難)。
タイトルは簡潔で印象的に。「2023年度第3四半期売上実績推移表」じゃなく、「秋の売上は20%増加」の方が伝わる。
注釈と出典も必ず明記。データの出典、収集期間、サンプル数、特記事項——この情報がないと、グラフの信頼性が疑われる。
最近は、インフォグラフィック(数字だけでなくイラストや図を活用)、インタラクティブグラフ(マウスで操作できる)、ダッシュボード(複数のグラフを一画面に)といったこういう新しい可視化手法も増えている。
日常でグラフを意識する習慣をつけよう。勉強時間の記録なら、科目別の時間配分は?曜日による違いは?成績との関係は?家計の支出分析なら、何にお金を使っている?月による変化は?無駄遣いはどこ?——こうやって、グラフで考える習慣をつけていこう。